L2/L3冗長化:MLAG+VRRP/MAGP
Mellanoxスイッチを用いた冗長ネットワークの構成例(L2/L3)
構成例:
Mellanox Ethernet Switch : SX1036等(モデル問わず)
Switch Software : MLNX OS 3.3.5006以降
構成例についての説明:
- MLAG (Multi-chassis LAG):2つのスイッチを1つのL2スイッチとして動作させ、スイッチをまたがってLAGを構成する機能です。いわゆる普通のMLAGです。冗長化されたペアのポートは、1つの物理ポートとして外からは見え、対向のホストや別スイッチも同様の(1つの物理ポートとして見える)冗長ポート(bondingやLAG)と接続することができます。1つのパスを複数パスLAG構成ともできます。1つのLAGに所属するリンク上限は16本。スイッチ間接続も最大16本のLAG構成も可能です。スイッチをまたがって冗長パスを構成しているため、パス障害、スイッチ障害、スイッチ間接続障害の想定される全ての箇所で障害が発生した場合にも通信を継続することが可能です。
- VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol):2つのスイッチでL3 IPアドレスを冗長化する機能です。優先度設定により、優先度が高いスイッチがMaster、優先度が低いスイッチがBackupとなります。VRRPは標準化された規格なので、標準的なVRRPです。一方のスイッチがダウンした場合には、他方のスイッチがIPアドレスを引き継ぎます。
- MAGP (Multi-active Gateway Protocol):機能としてはVRRPと同様ですが、VRRPがActive/Standby型の動作に対し、MAGPはActive/Activeの動作をサポートします。ベンダユニークの機能です(他のスイッチでも同様のベンダユニーク機能あり)。MAGPは、MLAG構成で設定可能です。
複数サブネットのデフォルトゲートウェイ
2つのスイッチで冗長化するL3 IPアドレスとして、複数IPアドレス(同一サブネット及び異なるサブネットのどちらでも可能)を設定することができます。
上記構成例では、VLANなし、VLAN=10、VLAN=20、VLAN=30の4つのサブネットがホスト側に設定されていますが、例えば、4つのサブネットそれぞれに対するデフォルトゲートウェイを2台のスイッチに仮想IPアドレス(VIP:Virtual IP address)として設定することができます。MAGP(Active/Active)、VRRP(Active/Standby)共に可能です。VRRPを使用する場合、スイッチ負荷を分散するため、MasterとBackupを均等に割り当てるのが推奨です。
※特別な理由がなければ、可用性、負荷分散の観点から、Active/Activeの構成であるMLAG+MAGPでの運用が推奨です。
おまけ(Open MLAG)
最近、Mellanoxはスイッチのソフトウェア部分をオープンにする取り組みを進めていますが、世界で初めてMLAGの実装をオープンソースとして公開した、とプレスリリースをしています。なぜMLAGだけ公開しているのかは謎ですが。。。
Mellanox Contributes the World's First Open Source Ethernet Switch MLAG Implementation (NASDAQ:MLNX)
スイッチのソフトウェアとか、Mellanoxの動向に興味があれば、下記のGitHubにMLAGソースコードがあるのでチェックしてみてください。